2025.06.16

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燃料費高騰の波にどう立ち向かうか ~運送業界の持続可能な未来を考える~

燃料費高騰にどう立ち向かうか?運送業界の今とこれから

昨今、原油価格の上昇や為替変動の影響で、燃料費が高騰し続けています。
この影響は運送業界にも深刻な影を落としており、とくに中小規模の運送会社にとっては経営を直撃する事態となっています。
運送業はそもそも利益率の薄い産業です。そのなかで燃料費という大きな変動要因が跳ね上がれば、わずかな利益もすぐに吹き飛んでしまう状況です。運賃への転嫁も難しく、いかにしてこのコスト増に対処するかが、今まさに問われています。

燃費改善と業務の効率化がカギ

このような状況において、各社が今すぐ取り組むべきは「燃費改善」と「業務効率化」です。
燃費改善では、エコドライブの徹底やアイドリングストップの実施、タイヤ空気圧の適正管理など、日常の運行における細かな工夫が、燃費向上に直結します。また、燃費性能の高い車両への更新は、中長期的には有効な選択肢です。
業務効率化についてもっとも効果的な対策は積載率の向上です。その他配送ルートの見直し、配送システムの導入などによって無駄な走行を減らす努力も欠かせません。

積載率向上のための具体策

1.複数荷主からの混載便(共同配送)

一社からの依頼ではトラックが満載にならない場合、複数の荷主の商品を1台の車両に積み合わせることで積載率を 高められます。 特に「同一方向のルート」であれば、配送効率も落とさずに実現可能です。 商工会や業界団体、他の地元業者と連携して実施するケースも増えています。

2.帰り便(復路便)の活用

往路は荷物が満載でも、復路が空車になっているケースは非常に多いものです。 帰り便を活用するために、異業種の荷主やEC系の会社と提携する動きが有効です。 配送マッチングサービスの活用も、帰り便の案件獲得に役立ちます。

3.配送計画・ルートの最適化

積載率が低い原因が、非効率な配車にあることもあります。 配車担当者が経験と勘に頼るのではなく、配車支援ソフトなどを使い、ルートや荷量を可視化することで改善が 可能です。

4.小ロット荷物のまとめ出荷提案(荷主への改善提案)

荷主が小分け出荷をしている場合、まとめ出荷(定期便化)を提案することで効率化できるケースがあります。 荷主にとっても、送料の削減・納品時間の安定化といったメリットがあります。

5.倉庫や中継拠点の活用

複数の小口荷物を一時的に中継倉庫に集めて仕分け・積み替えすることで、積載効率を高めることができます。 特に地方発→都市部行きの場合、複数拠点から集荷してまとめる仕組みが有効です。

積載率を上げるメリット

積載率を上げるメリットは以下の3点です。

・燃料使用量あたりの売上が増え、燃費と収益の両方が改善すること。

・ドライバー1人あたりの生産性が向上すること。

・車両運行回数が減り、車両維持費・高速代の削減がなされること。

これらが実現できれば、業務改善が実現できるでしょう。

支援制度の活用と業界連携

企業単体でできる取り組みに限界があるなか、国や自治体の支援制度を活用することも重要です。 燃料価格高騰に伴う助成制度、物流合理化を目的とした補助事業など、使える制度は積極的に情報収集・活用すべきです。 また、同業他社との共同配送や連携便など、業界全体での協力によって燃料負担を分散するモデルも今後ますます重要になる でしょう。

変化をチャンスに変える視点を

燃料費高騰は確かに大きな逆風ですが、この機に物流の在り方を見直し、持続可能な経営へと舵を切るきっかけにすることも可能です。
「どう乗り切るか」ではなく、「これを機にどう成長できるか」という前向きな視点が、これからの運送業に求められる姿勢ではないでしょうか。