2025.07.09

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運送会社を支える企業とは?:物流の”見えないパートナーシップ”

 運送会社といえば、縁の下の力持ちとしてひたむきに働いているイメージを持つ方が多いと思われます。しかしながら経済の血液である運送業もまた、別の企業によって支えられている存在です。現代の物流においては、運送会社は単にモノを運ぶだけではなく、周辺企業との密接な連携によって効率的かつ安全な物流網を形成しています。本記事では、運送会社とそれを取り巻く周辺企業との関係性について紹介します。

荷主企業

運送会社にとって最も密接な関係にあるのが荷主企業です。荷主は自社の製品や原材料を届けるために運送会社へ輸送を委託します。物流は事業活動の生命線であるため、荷主は信頼できる運送会社と長期契約を結ぶことが多く、運送会社にとっては安定収益の確保につながります。

物流センター

物流センターは、商品の保管・仕分け・加工・配送準備といった業務を担い、物流業務の中継点として多様な形で利用されます。物流センターを利用することにより、運送会社は自社で保管スペースを作らずに済んだり、適切な在庫管理の下で効率的な配送を実現することが可能になるのです。

整備業者・ディーラー

トラックの安全運行には、整備業者や車輌ディーラーとの関係も重要です。新車中古車の購入、下取り、定期点検、緊急修理、保証契約などを通じて、車輌の稼働率を維持します。また、整備業者とディーラーの間でも、専門整備の外注や純正部品の取り寄せといった場面で取引が活発に行われています。

燃料供給業者

運送会社にとって、燃料費は車輌維持費・人件費と並ぶ三大コストのひとつです。特にトラックや大型車輌を多く保有する企業では、燃料費が全体の経費の大部分を占めることも珍しくありません。燃料費は走行距離や燃料価格に左右されやすく、経営へのダイレクトな影響が懸念されます。そこで、運送会社は燃料供給業者と契約し、安定した価格と供給を確保しています。運送会社と燃料供給会社の関係は、単なる給油サービスの枠を超えた、経営に直結する重要なパートナーシップなのです。

同業他社(ほかの運送会社)

物流業界では、一見すると運送会社同士はライバル関係に見えますが、実際の現場では、協力関係(協業)も数多く存在しています。運送業界はドライバー不足による配車難化や広域配送への対応に強いられており、「単独で全てを賄うには限界がある業界」と考えられています。特に、輸送の需要は常に変動しているため、流動性が低く固定費が大きい車輌やドライバーを必要以上に自社に抱えることは大きなリスクとなります。そこで運送会社は、仕事量に対し適度な車輌とドライバー数を持ち、それを上回る需要に対しては、他社に輸送を依頼する傭車依頼を駆使して、市場の変動へ柔軟に対応できるように備えています。自社が他社へ傭車依頼をすることもあれば、他社から自社へ傭車依頼がされることもあります。例えば、通常の配送業務の帰路に他社の傭車依頼を請け負い、別の配送業務を担うことで、他社の需要を補いつつ自社の供給(走行距離)をフル活用することができます。運送会社同士は互いを高め合うライバルであると同時に、互いの需要と供給を補い合うパートナーでもあります。

まとめ

運送会社は、荷主企業をはじめとする周辺企業との信頼関係によって支えられています。つまり、物流の現場は単独の企業で完結することはなく、「つなぐ力」が求められる産業なのです。

各プレイヤーが互いの役割を理解し、ありとあらゆるツールを活用して連携の質を高めていくことが、持続可能な物流への一歩となるでしょう。