2025.05.21

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【物流業界の今】トラック運転手の人の流れと現状

近年、運送業界では「トラックドライバーの人材確保」が大きな課題となっています。実際に求人を出しても、なかなか応募が来ない・採用しても定着しないという声は多く、業界全体で“人の流れ”に注目が集まっています。 今回は、運送業における人材の流入・在籍・流出の傾向について、わかりやすく整理してみます。

■ 業界に入ってくる人たちの特徴

● セカンドキャリアとしての運送業

定年退職後や異業種からの転職先として、トラック運転手を選ぶ方が一定数います。特に、大型免許を活かせる仕事として人気ですが、夜間業務や長距離運行を敬遠する傾向もあります。

● 建設・製造業からの転職者

体力を活かした仕事に慣れた方が多く、運転の仕事にも適性がありますが、労働時間や拘束時間によっては早期離職につながることもあります。

● 外国人労働者の増加の兆し

現在はまだ少数ですが、政府の「特定技能制度」などの拡充により、今後は外国人のドライバーも増える可能性があります。免許取得や日本語の壁が課題ですが、中長期的には重要な担い手になるかもしれません。外国人ドライバーの課題として、まず言語の壁が挙げられます。日本語の理解不足により、業務指示や交通標識の解釈ミスが起きる可能性があります。また、日本独自の交通ルールや慣習に不慣れな点も安全面でのリスクとなります。

さらに、文化の違いから職場でのコミュニケーションが円滑にいかず、孤立感を抱くケースもあります。労働条件の理解不足によりトラブルが生じることもあり、事前の教育や継続的なサポートが不可欠です。

● 若年層は非常に少ない

若い世代には「危険」「大変」「割に合わない」といったイメージが根強く、なかなか業界に入ってこないのが現状です。

ただし最近では、トラック運転手の求人において、SNSの活用は効果的な手段となっています。特に若年層へのアプローチに有効で、InstagramやTikTokを通じて職場の雰囲気や業務内容を視覚的に発信することで、応募者の関心を引きやすくなります。 また、リアルな現場の声や社員紹介を投稿することで信頼感を醸成できます。一方で、情報発信には一貫性と配慮が求められ、炎上リスクや誤解を招く表現には注意が必要です。戦略的な運用が採用成功の鍵となります。

■ 在籍中のドライバーの現状

現在、運送業界の主力ドライバーは50代以上が中心。平均年齢は47〜50歳とも言われており、経験豊富な方が支えている一方で、今後10年以内に大量の引退が見込まれています。

■ 運送業から離れる人たちの行き先

● 軽貨物(フリーランス)への転向

時間に融通が利くことから、個人事業主として軽貨物配送に転向する方が増えています。

● 倉庫作業やフォークリフト業務

肉体的な負担を減らしたい高齢層に人気の選択肢。フォークリフトの資格取得で時給アップも見込めます。

● 異業種への転職

とくに若年層は、ITやサービス業など「将来的な安定性」を重視して業界を離れる傾向があります。

■ 人材確保のために企業ができること

人の流れは変化し続けていますが、企業としては以下のような取り組みが求められます。

・労働時間・待遇の改善

・若年層や女性ドライバーへの訴求

・免許取得支援制度の導入

・外国人材への対応体制づくり

今後の人材確保は「選ばれる会社づくり」がカギとなります。当社でも、働きやすい環境づくりを進め、次世代のドライバー育成に力を入れていきます。